
新宿や渋谷と並ぶ都内屈指の繁華街、池袋。ランドマークであるサンシャイン60周辺は、とりわけ「若者の街」というイメージの強いエリアですが、実はその目と鼻の先に、渋い「ジャズ喫茶」があるんです。
池袋の片隅に
その店の名は「アウル(OWL)」。アウルとは英語でふくろうのこと。森の番人のようにひっそりと佇むあの姿は、皆さんもきっとご存知ですよね。その名の通り「ジャズ喫茶アウル」は、池袋の片隅で日夜ジャズを流し続ける、ふくろうのようなお店なんです。
時間を忘れるレトロな雰囲気
アウルがあるのは、サンシャイン60と道を一本隔てたエリアにある雑居ビルの2階。入口ではジャズシンガーたちの写真とふくろうのオブジェが静かに出迎えてくれます。(隣の中華屋さんが華やかで、一瞬見逃しそうになります。)
中に入ると、昼だというのに敢えて暗くしている店内にレトロなランプが数台。壁にはずらりとCDやレコードが並び、更によく見ると、高さ1メートルはあろうかというスピーカーが、ジャズのリアルな音色を店内に充満させています。個人的なことをいうと、最近はスマホで音楽を聴くことが増え、スピーカーや音質にこだわることがなくなっていたので、久々に感じる「音に包まれる」というその感覚に、自分が今、池袋にいることを忘れてしまいそうになりました。
ジャズ喫茶の灯を消したくない
一言でいうと「昭和っぽい」空気が漂うジャズ喫茶アウル。ですがオープンは13年前とで、意外にもそこまで古くはないそう。
オーナーさんに開業のきっかけを聞いてみると、「ジャズ喫茶が少なくなったから、自分で開いたんです」とのこと。確かにジャズ喫茶が流行したのは、今から50年ほど前(1960年代)のこと。最近では玄人好みの渋い存在となってしまいましたが、こうして志ある人たちによって静かに脈々と受け継がれているんですね。
さて、ランチメニューは、コーヒー付で3種類(800円)。ナポリタン、エビピラフ、ドライカレーとある中、私はナポリタンを注文しました。無口なオーナーが作るシンプルなナポリタンは、飾り気のない中からも旨みがじわじわ溢れてくるよう。食後のコーヒーもすっきりと飲みやすく、また池袋に来るときには寄り道してみようと思いました。
たまにはジャズで時間を忘れてみては?
オーナーの想いが胸に沁みる、繁華街の隠れ家的ジャズ喫茶アウル。たまには都会の喧騒も、スマホのイヤホンも忘れて、大きなスピーカーから流れるジャズの音色とコーヒーの味に身を委ねてみるのも良いかもしれません。